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『宇城空手の真髄と継承(二)』発刊に寄せて

  • chiba
  • 6月18日
  • 読了時間: 3分

 日本の財産と日本人の資質は「人間性」と「人間力」にあると思っています。


 「人間性」とは勤勉で誠実で礼儀正しいこと。誠実だから約束を守る、時間を守る。日本のバスや電車や新幹線が時間通りに運行する、また落とし物が届けられるなど世界では珍しいことですが、だからこそ、そこに信頼や信用も育まれています。まさに、これこそが人間性の成せる業です。


 人間には元々存在している潜在力によって発揮される「人間力」があります。人間力とは信念や覚悟を持った行動力のことを言います。その人間力の根源にあるのが「心」のあり方です。心は見えないけれど、その行動によって分かります。


 宇城空手は、こうした人間性と人間力を高める修業の場として「創心館」を創設しました。宇城空手で目指すのは、伝統の沖縄古伝空手の型と日本伝統の居合の型による「ニュートラル化」、それを実証する分解組手、応用組手による「ゼロ化」、そして調和融合を生み出す「気」エネルギーの追究です。これらを三本柱に構築されたプロセスとメソッドに基づいて日々研鑽を積んでいます。


 伝統はその本質を見極め今に活かせてこそ真価が発揮できます。そのためには不変の本質を極める深さへの追究が必要です。深さへの追究とはすなわち進化です。



 『種の起源』を著したチャールズ・ダーウィンの言葉に、「激動の時代に生き残れるのは変化に対応できる種である」があります。それは武術でも同じで、武術の変化とは実践、再現を通して深さに向かうことであり、それはまさに古に学び、それを今に活かすという「稽古照今」にあります。


 時間は過去から未来に流れるというのが一般的な見方ですが、一方で「今を起点として同心円上に広がる空間」を「時間」として捉えると、過去、現在、未来は融合して、今にすべてがあるという、まさに次元の高い時空に生き、生かされることになります。


 なぜ、武術を根源とするのか、それは今の時代の武道と異なり武術のルーツには真剣での戦いという「生と死」があり、そこから生まれた究極の「戦わずして勝つ」という境地に至る具体的な実践術と、その中から培われた実践魂は、まさに今、人間のあり方、生き方、すなわち「人間性」と「人間力」の核心へと導くものだからです。


 とくに宇城空手は、従来の目に見える次元から目に見えない次元の心技体、すなわち気を発する心技体を開発する学びの場としてあり、そのためのプロセスとメソッドが構築されています。



 本書は『宇城空手の真髄と継承』の第二弾になりますが、前回からさらに進化・深化した宇城空手の可能性を感じてもらえたらと思います。


 また、気を伴った空手への進化が著しい榎本麻子師範の気づき、そしてその影響を受けながらいろいろなことに気づき始めた宇城拓治師範の話は、まさに自らの変化の軌跡であり、両師範の話が一人ひとりの進歩・成長の参考となれば幸いです。


 本書は空手に限らず、今の人生を広げるための参考に必ずやなると思っています。


 創心館館長 宇城憲治 


(『宇城空手の真髄と継承(二)』 はじめに より)



『宇城空手の真髄と継承(二)』

人間の可能性と進化

創心館館長 宇城憲治

師範 榎本麻子 師範 宇城拓治


2025年7月 どう出版より発売[詳細案内]

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