「人間だけにあるエネルギー」 ― 小林信也 道塾見学記 ―
- chiba
- 1 時間前
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塾生二人が腰を沈め、左右からガッチリと椅子を押さえる。その椅子の背もたれを、もう一人の塾生が両手で後方に引っ張る。
二人対一人の力比べだから、椅子はほとんど動かない。それでもわずかに椅子が後方に引っ張られようとする力の方向性は見える。

その状態で、宇城先生が正面から気を入れ、場の時空を変える。と、後ろに引こうとする動きと正反対に、椅子は前へと動き出した。三人の誰一人、前方に椅子を動かそうとはしていない。それなのに、実際に椅子は前に移動する。
不思議な現象だが、宇城先生の〈気の成せる術〉を繰り返し見せてもらっている塾生たちは、目を見張りこそすれ、驚嘆はしない。その時、宇城先生が呟くように言われた。
「動力源は何か、ちゅうことや」
その言葉に胸を衝かれた。
「エンジンもない、電力もない、だけど動く、その動力源は何か?」と宇城先生は問われたのだ。
誰も前方向には引っ張っていないが、椅子が前に動く。その動力源は……。椅子を両手でつかんでいるのは三人の人間だ。二人はただその場で押さえようとし、一人は後ろに引こうとしている。
「これは人間だけにあるエネルギーです」
続けて宇城先生が言った。その言葉で、さらに全身に衝撃が走るのを感じた。
目の前の不思議な現象にただ目を見張っている場合ではない。なぜそうなるのか、誰がその媒介となっているのか――。
筋力で引っ張っているのではない。目に見えないエネルギーが作用しているとしか理解のしようがない。その目に見えないエネルギーが宇城先生から発せられているのは明らかだが、それを誰が椅子に伝えたのか。問われてみれば、そこに三人の人間が介在している。三人は、意識とは別の無意識の領域で宇城先生の気を受け取り、宇城先生の〈心の発動〉を椅子に伝えている。
(その役割は、人間だからできる)
人間にはそのように、気を感知し、そのまま伝播させる潜在力が備わっている。鈍感になり、気を発する力も認める力もなくなっていると思われる現代人にさえ、まだその力は生きている。
「人間だけにあるエネルギー」
宇城先生の言葉が身体の中で何度も響いた。
世界は、いまも石油の奪い合いをし、最近ではレアアースの収奪戦が活発になっている。地球環境保護の名目の下に、新しいエネルギー創造の競争も続いている。
だが、地球最大のエネルギー源が私たち人間だとしたら――。
これほど健全で、幸福な未来はない。
一人ひとりが目覚め、日々自分の身体にひそむ潜在的なエネルギーの開発に務めることの重要さを改めて気づかされた。一人ひとりの成長・進化が100人、1000人、1万人、さらに大きくなれば、どんな未来が訪れるだろう。それを思うと、
(誰かのせいにしている場合ではない)
環境破壊とその改善をまるで他人事のように語る人間の“当事者意識の希薄さ”を宇城先生に突きつけられた気がして、全身に光が走った。
「一人革命」
宇城先生が数年前から提唱しておられる、その言葉の背景には、このような事実と思いがあったのか。一人革命とは、ただその人が健全化し、素晴らしい人生を歩めるという個人的な成果にとどまらず、地球環境をも改善してしまえるほどのエネルギーを人間一人ひとりが秘めているという投げかけだったのではないだろうか。
「いまの温暖化だとか異常気象なんて、このまま進んでも地球にとっては皮が一枚むける程度のもんや。リンゴの皮がむけるくらいのな。だから地球にとっては大したことじゃない。ただ人間は滅びるやろな」
いとも簡単な調子で宇城先生は言われた。
頭の中に、地球というリンゴの皮がペロリと一枚はがれるイメージが浮かんだ。地球の表層が現在と変わってしまえば、人間が住む環境は破壊され、人間はかつての恐竜と同様に絶滅するだろう。しかし、地球の生命が終わるわけではない……。
「異常気象って言うやろ」
言いながら、宇城先生がホワイトボードに、『異常気象 ⇒ 温暖化 ⇒ CO2』と書かれた。
「世界中で、『異常気象はCO2のせいや』となっている。あれはお金儲けのためや。世界は全部、ビジネスで動いている。ちょっと検証すればわかることや」
これは過去にも紹介された事実だが、宇城先生はホワイトボードにさらにこう記した。
『N2=78% O2=21%』
『残りの1% アルゴン=0.9% CO2=0.03%』
連日のように報じられる二酸化炭素増加のニュースに囲まれていると、空気中の酸素の量より二酸化炭素の量が遥かに多くなっているような印象を抱いてしまう。ところが実際には、二酸化炭素は空気中の0.03%を占めるにすぎない。
「その0.03%が増えたからといって、どれほどの影響があるのか? 疑問に思わない? ところが、誰もそこを突っ込まない」
それがいまの世の中だ。政治家や経済人が捏造するウソにメディアも加担し、巨大な世界的ビジネスが構築される。
「実際には、農薬によって汚染された亜酸化窒素が河川に流入する。それが異常気象の一因だとわかっている」
「こういう気づきや発想を子どもたちに教えたいんや」
宇城先生は、少し遠くを見やりながら言われた。
政治家や経済人のウソを放置せず、そのウソに気づき支配されない社会の礎を築くのは私たち大人の責務ではないか。
今回宇城先生は、太陽と地球と月、その他の天体との関係を例に挙げ、「事実は全部マクロ。それをミクロに落とし込んで実践、実証する」と繰り返し言われた。
「人間関係において、強い弱いはないんです。調和すれば、エネルギーは人から人に伝わる。身体は知っているんです」
そしてこう言われた。
「戦争を絶対にさせない。そのためには外交しかない。肚(はら)がないとそれはできない。それも身体が教えている」
小林信也
(2026.1.27受講)
(写真下)講義での実践例の一つ
大勢で宇城先生の腰を押さえ込むが、いとも簡単にほどかれ、崩されてしまう





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