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「なぜ私たちは進展しながら自滅に向かうのか」 ― 小林信也 道塾見学記 ―

  • chiba
  • 9月12日
  • 読了時間: 4分

「なぜ私たちは進展しながら自滅に向かうのか」

冒頭、宇城先生はホワイトボードにまずこう記された。


「子どもにできて」→「大人にできない」


進展しているのに、自滅に向かっている。この間に何があったのか?  親の教育、学校の教育、それらが間違っているから、「できない」大人になっている。つまり「進展しながら自滅に向かっている」。

そう指摘され、言われてみれば「そのとおり」の事実を、批判しながらどこか容認している愚かさにため息が出た。


「できていたこと」が「できなくなっている」。人をそうさせてしまう教育や社会環境が「理に合っている」はずがない。それなのに、日本は受験勉強を軸とした知識詰め込み型の教育を繰り返している。

もっと痛切に、「できなくなる過ち」をすぐ転換すべきなのに、その感度とスピードがない。行動もできていない。それが日本社会、そして自分の現状だと思い知らされた。


次に宇城先生は、


現状 = 対立・衝突 力の世界→消耗  例)スポーツ、受験

宇城 = 調和・融合


と書かれた。


「いまは全部、対立・衝突になっている」

と言って、塾生と塾生の人間関係を示された。たまたま同じ場所にいる二人。すでに二人の間には「対立・衝突」の関係が生じている。なぜなら、人それぞれが不安で自信がない。相手への信頼もなく、「エネルギーがない」からだ。このようにして、社会全体が「対立・衝突」という負のスパイラルで形成されてゆく。さらに、それを助長するのが商業主義の支配者たち。一部の富裕層、権力者たちは大衆を奴隷化している。大衆は彼らのビジネスに利用されている。このスパイラルからも脱却できない。


「対立・衝突」は戦争さえも引き起こす。そのスパイラルにある限り、人も社会も消耗するだけで生産できない。宇城先生が、「地球温暖化の要因はCO2のせいやない、問題は人間や」と言われる意味がここにあった。


この現状を打破するのが「宇城エネルギー」だ。宇城先生の気は、瞬時に人を、そして人と人の関係を「調和・融合」に変える。塾生たちは今回も「対立・衝突」になっている身体が、気によって「調和・融合」に変わる。ところがまた、「頭の意識」や「力」によってすぐ「対立・衝突」に戻ってしまう現実を繰り返し体験させてもらった。

この調和・融合の「宇城エネルギー」を持って生きることができれば、その人の生き方はもとより、地球環境にも変化をもたらすだろう。一人ひとりがエネルギー体となれば、消耗から生産へと劇的な変化が生まれる。



手甲をテーブルにつけたところからの腕相撲。

当然、女性は腕を返すことができないが、宇城先生が気を通すと一瞬で返せるようになる。

気を通される前後の身体の変化を、塾生は触れて感じ取る。



4人の列を引く。

手を掴んで力いっぱい引いても動かないが、宇城先生に気を通されると手の平を合わせた状態でも列を動かすことができる。




実践の中で、宇城先生の気を素直に身体で受け入れられない(変化しない)数名の塾生がいた。そのたび宇城先生は、「会社やったら倒産するで」「お店だったら誰もお客さんが来ないわな」といった表現で諭された。常に「頭」で考え、「損得」や「欲」が先に立つ人にポジティブな成果は望めない。魅力がない、人を引き付けるエネルギーがないからだ。


宇城先生の言葉・指導の一つひとつが私自身に直接突き刺さってきた。


「頭が全部邪魔をする。止めるのは頭なんです。頭は、欲、恐れ、怯え、損得を考える。身体脳で感じなきゃあかん」


私は小学生のころから「勉強ができる」と周りに言われ、自分もその気になっていた。そんな思い込みに何一つエネルギーはない。その思い込みによって、本当はできるはずもない役目を引き受けたり、目指したりした。足元の「できること」を徹底するのでなく、世間的な評価に虚勢を借りて、組織をリードできる錯覚を持っていた。その誤りはすでに20年以上前に宇城先生から指摘を受け、肝に銘じた気でいたが、本気で自分を変える行動をどれだけできているのか。


「頭で考え、欲や損得で生きている人は品性がない。地位や肩書、知名度に意味はないのに、わかっていない人間ほどそういうものに頼ろうとする」


道塾の前に、宇城先生とお話しする時間をいただいた。その中で宇城先生は、前回《どう》で取材させてもらった新里賢さんの話をしてくださった。新里さんはプロ野球選手、スカウトを経て、生命保険会社に入った。いまは支社長を務めている。東京実践塾の稽古の日、午前10時に始まる稽古に向け、ある塾生が8時に体育館に着くともう新里さんがいて、体育館はもちろん玄関や廊下まで掃除をしているのを見たという。「それこそが気づきであり、行動である」と、宇城先生は改めて提示してくださった。

そこまでの行動はできていない。70歳を前にしてまだ言い訳をしている。「行動」の意味がわかっていない。今回のご指導は、現状維持で精一杯の自分を痛切に恥じ、目を開く機会となった。ありがとうございました。


小林信也


(2025.9.9受講)


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