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森の哲人・オークヴィレッジ創設者 稲本 正




森の哲人・オークヴィレッジ創設者 稲本 正


デカルトによる身体と精神を分離する心身二元論をルーツに始まった近代合理主義は、その後ニュートン、ダーウィンなどに引き継がれ現在に至っているが、その要素還元的な思考は、生命などのように機械的に分析できないものの全体像をかえって見えなくするなど、現在もその弊害は続いている。

今号では217号(2023夏)で登場いただいた森の哲人・稲本正氏に宇城憲治塾長との対談に再びご登場いただき、いかに目に見えないものが、目に見えるもの以上に私たちに影響を及ぼしているか、さらに、モノと心は相互に依存しつながりあっていることなどについて、稲本氏には原子の視点や植物間コミュニケーションの話から、宇城塾長には自ら発する「気」や人間の潜在力の可能性の話から、それぞれ語り合っていただいた。




稲本正(いなもと ただし)


1945年 富山県生まれ。シベリアに抑留された医師の父親は帰国後家族よりも他人のために働き、あまりに多忙であったことから、小学5年生の時に「医者だけにはならない」と決意する。中学生までは野球少年時代を過ごし、その後小説家を目指したが、文学者だった叔父に「才能がない」と言われ、大学では原子物理学を専攻。中間子論でノーベル賞を受賞した湯川秀樹とともに研究した武谷三男(現象論、実体論、本質論の武谷三段階論で知られる)の下で学ぶ。卒業後も大学に残り研究を続けたが、次第に原発の安全性に疑問を持つようになり、シュレディンガーの『生物とは何か』を読んで自然や宇宙の基本に植物が大切であることを悟り、74年飛騨高山に移住。オークヴィレッジという工芸村を設立し、木製の玩具、アクセサリー、インテリア、建築までを手掛ける。現在は樹木や植物の利他的性質を再評価し、人間の生き方を見直す活動を行なっている。

87年環境総合プロデュース会社オークハーツ設立。

94年『森の形 森の仕事』で毎日出版文化賞受賞。

『森の惑星プロジェクト』開始。


トヨタ白川郷自然學校設立校長。東京農大客員教授。岐阜県教育委員を17年務める。

著書に、『緑の生活』(角川書店)、『森の惑星』『日本の森から生まれたアロマ』『森の旅 森の人』(世界文化社)、『脳と森から学ぶ日本の未来』(WAVE出版)など多数。




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