top of page

ハンガリーセミナーレポート

2019年10月19-20日、宇城館長によるハンガリー空手セミナーがブダペストで開催された。ヨーロッパはこれまでドイツをベースに年に1回のセミナーが行われていたが、主催者側の強い熱意もあり、今年から2回行われることになり、今年はブダペストで開催される運びとなった。


参加者はヨーロッパはハンガリー、ドイツ、イタリア、ポーランド、スロバキア、スイスから、ヨーロッパ以外ではアメリカ、日本からの参加者があり、セミナーは主催者のフェレンツ氏の「宇城館長の武術空手を学びたい」という思いが反映されたものとなった。


参加者の半数以上が初めてだった事もあり、初日は武術空手とスポーツ空手の違いとは何かについて実践をまじえた詳しい解説があった。武術の勝負の負けは死を意味し、スポーツの勝負は判定であり、その本質が異なるという点を踏まえ、セミナーはサンチンの型を中心に始まった。


多国籍のため、通訳は英語を中心にハンガリー語、ドイツ語、イタリア語と多岐に渡った
多国籍のため、通訳は英語を中心にハンガリー語、ドイツ語、イタリア語と多岐に渡った

全体でのサンチン
全体でのサンチン


参加者の大半がフルコンタクト系の出身だったため、館長は「スポーツ空手と武術空手の違い」の実践指導に加え、「日本文化としての武道のあり方」を丁寧に指導した。その「常にやってみせる」館長の姿勢に、参加者から絶え間のない質問が挙がったが、館長は一つ一つの質問に丁寧に対応した。



初日の講義の板書
初日の講義の板書

指導は全て「やってみせる」。武道とはどうあるべきかを伝統の型を通して説明する館長
指導は全て「やってみせる」。武道とはどうあるべきかを伝統の型を通して説明する館長

各国からの参加者に、丁寧に指導する館長
各国からの参加者に、丁寧に指導する館長



2日目は初日の教えを踏まえ、「武術空手の絶対条件である気とは何か」について、

「気とはわかりやすく説明すると、時間とエネルギーであり、時間は、クロノス的時間とカイロス的時間そして、さらに宇宙時間と人間時間。エネルギーは現状から未知の世界へのジャンプを可能とするもの」

といった解説が行われ、気の必要性とその重要さが強調された。

初日の絶え間ない質問と稽古の流れを踏まえ、2日目は参加者を5つのグループ(ハンガリー語グループ3つ、英語グループ2つ)に分けて、各グループを指導してまわるという形式に変えられた。


2日目の講義の板書
2日目の講義の板書

館長が気を通すと
館長が気を通すと

列を簡単に押すことができる
列を簡単に押すことができる


「言葉では説明出来ない世界がある」(言葉では受け手の限られた理解の中でしか伝わらない)として、館長は技をかけるだけでなく、一触を通して、すなわち参加者に自身の身体に直接触らせることで、スポーツ的身体と武術的な身体の動きの違いを伝えてまわった。


特に回数を重ねているポーランド、イタリア、ドイツからの参加者は、武術空手の奥深さが一層理解できたようで、一挙一動を見逃すまいという真剣な気持ちが伝わってきた。



身体に触れさせ、武術とスポーツの違いを参加者に感じさせる
身体に触れさせ、武術とスポーツの違いを参加者に感じさせる

崩れてしまうだけでなく、思わず笑みが浮かぶのも世界共通
崩れてしまうだけでなく、思わず笑みが浮かぶのも世界共通

各国の参加者を相手に、実践組手を行う館長
各国の参加者を相手に、実践組手を行う館長




イタリアの空手指導者との組手
イタリアの空手指導者との組手





宇城館長と過ごす時間はどんな時でも全てが稽古。その事を実証するように初日の夜の懇親会でも館長は各テーブルをまわり、参加者と談笑するなかで様々な技も示された。


2日間にわたり、宇城館長は各自がそれぞれの国に戻っても自分たちで稽古出来るようにとサンチンと呼吸法をメインに指導、回数を重ねたベテランも初参加者も、それぞれが多くの学びを持ち帰る2日間となった。



初日夜の懇親会
初日夜の懇親会





ハンガリーセミナー参加者一同
ハンガリーセミナー参加者一同

またセミナー2日間後の月曜日は、大阪道塾生でハンガリーが母国のアニコ・バーバラ女史とフェレンツ氏のアレンジで、ブダペスト郊外にあるハンガリー伝統武術家のカッシャイ氏の道場を訪問。その後、カッシャイ氏の希望で昼食を取りながらカッシャイ氏と宇城館長との対談も行われた。






カッシャイ氏と宇城館長
カッシャイ氏と宇城館長


ドナウ川を見下ろす高台にそびえる壮麗なブダ城
ドナウ川を見下ろす高台にそびえる壮麗なブダ城

華麗な後期ゴシック様式のマーチャーシュ聖堂( 聖母マリア 聖堂)
華麗な後期ゴシック様式のマーチャーシュ聖堂( 聖母マリア 聖堂)

 
参加者の感想

■A.G(ハンガリー 大学教授 空手歴35年)

 今回、初めて宇城先生の空手セミナーに参加しました。非常に驚きました。「気」は命だ、宇宙からくるものだというように、これまで「気」についていろいろなことを聞いてきましたが、今日実際に気とサンチンの型の体験ができたことを大変嬉しく思っています。 

 同時に体験したことをとても重たく受け止めています。私は小さい頃から空手をやっていますが、考え方をすっかり変えなければならないと思いました。私のスタイルは強さが出すぎています。もっと柔らかさが必要なのだと。筋肉の力は必要ないのだと。筋力は破壊なんだと。宇城空手は調和の武術を教えている。調和は命であり、幸福なんだと。素晴らしい体験を誠にありがとうございました。



■C.R(チェコ 元軍人 空手歴34年)

 私の年でセミナーに出るのはある面とてもリスクがあるのですが、今回は私の年齢でも学びができて、とても成長ができるセミナーでした。「気」についてこんなに深く、しかしこんなに簡単に説明をしていただけるのを聞いたことはありません。

 このすばらしい気の解説をいただき、「気」がちょっとだけわかったような気がします。私は今、60歳です。60歳の私からみて先生はすごいと思いました。私より速いし、強いし、とても挑戦できない。私にとり、勇者、目標、になりました。34年前から空手をやっています。元軍人です。今はほかの仕事をしています。



■E.A(イタリア 空手指導者)

 宇城先生にセミナーでお会いするたびに、私はまだまだどれだけ学ばなければならないかを思い知らされます。先生のいらっしゃるところはあまりに高く、まったく手に届かないように感じています。

 毎回、自分では理解できない技や新しいお考えを提示されます。宇城先生は人類の偉大なる遺産、生きている財宝だと思います。

 武術空手を理論だけでなく実践で示してくださいます。

 さらに、驚いたのは、気を現代医学に応用されているということです。難病や身体に障害がある方を気で元通りの生活にできるなど素晴らしいです。

 先生の教えの大切さを理解できたことは本当に光栄です。私は先生に学べることを心より光栄に思っております。感謝。



■P.B(ドイツ プロジェクトマネージャー 空手歴26年)

 今日のセミナーはとても楽しかった。自分の力を抜いて、自分の筋肉の力に頼らなくても強いことができるのだとういことを初めて経験しました。この空手は若い人に伝えることができるので、子供向けにすごくいいと思います。先生がおっしゃるように、武術空手というのを最初から教えると、おそらく違う道を歩む生徒が現れるのではないかと思いました。



■R.G(ハンガリー 元世界チャンピオン)

 初めて参加しました。先生の空手は、私たちの空手とはまったく違いました。新しい人生を学んだような気がします。私にとっては新たな始まりでした。まずは家にかえってじっくり考えたいと思っています。これは人生の問題で、スポーツではないので、すべてが新しかったです。

 先生との組手では、先生にはまったく触れられなかった。しっかり稽古して先生に触れることができるよう精進したいと思います。本当にありがとうございました。



■S.I(ハンガリー 空手指導者 空手歴35年)

 先生と先生の教えは8年前からDVDやインターネットで拝見させていただいていましたけど、フェレンツさんのおかげで初めて先生に近く学ぶことができて、今、こうして話をしていても鳥肌がたつのですが、宇城先生の人間的な素晴らしさ、正直さ、まっすぐさ、その人間性がそのまま私のあこがれです。自分の成長のなかでこういう出会いをいただき、みなさんに大変感謝しています。

 スポーツ空手での組手と違って先生と組手をすると、心も身体も逆らうことができなくなります。

 フルコンの世界で私もいろいろな経験をして、世界トップレベルの選手とかとも組手をやったことがありますが、本当にこれほど前もってなんの合図もなく急に攻撃があらわれるのを見たことがありません。どこから何がくるかはまったく予想ができない。これまで組手でやりやったすべての人は、動く前に必ず何かのサインがあった。先生の場合は何も発見できない。スポーツにおいては攻撃に対してこちらが入れるかどうかは、技術的なうまさによりますが、先生(武術)の場合は、攻撃をする前にすでに攻撃をおさえられている。70歳の先生が(それをやっておられることが)信じられないほどです。



■M.Z(ハンガリー プロジェクトエンジニア 空手歴31年)

 この二日間、本当に勉強になりました、先生の人間としての大きさがとてもよく伝わってきました。我々のヨーロッパの人へのやさしさが、笑顔でつたわってきました。先生がご指導されている時は、我々の文化、我々の言語をつかって、教えていただいていたような気がします。それを非常にありがたく思い、将来、またセミナーに参加できることを願っています。



■フリス・フェレンツ(ハンガリー セミナー主催者)

 とても有意義な毎日でした。勉強になりました。たいへんなところもありましたが、みなさんが一つのチームになって助けていただきました。大きな修行になりました。最初はセミナーの主催者としてはセミナー自体に集中できないかなと思っていたけど、集中できたし、主催もちゃんとできたのがよかった。いろいろ勉強になり先生におそわったことを毎日稽古したし、これからもいかしたいと思います。

 組織のなかで壁はありましたが、その壁をどんどんなくして、先生の道をあゆんでいきたいと思います。自分はもちろんこの道を歩んでいきたいのですが、セミナーに来ていた人には、(この道へ歩んでいけるように)サポートしていきたいと思います。やはりDVDだけではわからないこともあるので、みなさんが先生にあえるように、努力していきたい。先生の道をあゆみながら参加者の方もサポートしていきたい。主催者としてがんばっていきたい。

 勉強になったのは、先生の空手をやるときは、動きをやわらかくすればいいと思っていましたが、心の変化がないと、技ができないとわかるようになりました。深さを知りました。大きなもうひとつの目標は『karate and ki』をハンガリー語にすることです。ハンガリー人はハンガリーだけでなくスロバキアとか、ルーマニア、クロアチアとか、セルビアとかウクライナとか、ハンガリー人はたくさんいるので、そういうひたちに空手と気をハンガリー語で提供したいと思います。

 具体的には学んだこと、感じたたことを腹におとして消化していきたい。自分の生徒に対してはもう宇城空手しかないと思っているので宇城空手でいきたい。教え方は部分的にはわかるかもしれないですが、自分にも身につけながらの学びなので、これからはベルリン支部長のマイケルさんとも交流しながら一緒に学んでいきたいと思います。



bottom of page