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未来のリーダー養成を目指す、カンボジアの幼少中一貫校で宇城空手指導始まる

 去る2019年11月6日~7日、公益財団法人CIESF【理事長:大久保秀夫(株)フォーバル代表取締役会長】が設立・支援する、カンボジア・プノンペンにある未来のリーダー養成校(幼少中高一貫校)で、宇城憲治創心館館長による宇城空手指導が2日間にわたり行なわれた。2歳児からスタートした本学校での養成は6年目を迎え、今年初めての小学校1年生が誕生。今回の指導は2歳児を除く、3歳児から6歳児の子供たち及びその教師、スタッフたちを対象に行なわれた。



宇城館長を出迎える園児たち
宇城館長を出迎える園児たち

左から土居清美校長、宇城館長、キムリアン保育士、CIESFスタッフ宇野遥さん
左から土居清美校長、宇城館長、キムリアン保育士、CIESFスタッフ宇野遥さん


 CIESF(シーセフ)は、大久保会長が2008年に設立した非営利の国際的支援団体で、設立当初から人材育成事業に力を入れており、特にポルポト独裁政権下で教育が崩壊されたカンボジアをはじめとする途上国の、基礎教育の質の向上と高度人材育成を目指し活動している。


 2016年からは「人の在り方」を基本とした日本式の教育を行ない、質の高い教育を提供し、「自分の国さえよければ」ではなく、地球益を目指して未来の世界のリーダーを育成する幼少中一貫校CIESF Leaders Academy (CLA)をスタートさせ、日本語、現地語、算数、体育、社会、音楽、しつけを教えることで、知、徳、体のバランスのとれた子供の育成を目指している。

今回宇城館長によるCLAでの指導は、「宇城空手」こそ、子どもたちの育成に欠かせない教育を提供するものだとして、大久保会長の強い要請を受けて実現したもの。


 宇城館長と大久保会長との出会いは2017年6月のことで、その半年ほど前に大久保会長が患った脳梗塞による身体麻痺に対して、大久保会長と長年交流のある野中ともよ氏により、大久保会長へ「気による回復治療」を依頼されたことがきっかけとなった。

以後、館長は定期的に会長の回復を支え、また2018年からは大久保会長に請われてCIESFの顧問としても会長を支えてきた。


 大久保会長自身も何度も館長が指導する空手実践塾を訪れ見学し、その指導の様子をつぶさに見学、また自ら宇城道塾の塾生ともなって半年間学んできた。

会長は、館長の指導内容はもちろんのこと、館長に学ぶ塾生の自然体で真摯な学びの姿勢や礼儀正しさ、心ある気遣い等にいたく感心し、このような人材の育成こそがまさに自身が目指すCLAの理念、すなわち、地球益を目指す志を持ったリーダーの育成に合致するものだとして、今年7月に正式に宇城館長に「宇城空手」を体育としてCLAに取り入れたいと要請され、それに応じた形で今回の館長の指導となった。


空手実践塾を訪れ、宇城館長の指導に触れ、様々な体験をする大久保会長 2017年11月
空手実践塾を訪れ、宇城館長の指導に触れ、様々な体験をする大久保会長 2017年11月


 今回のプノンペンのCLA校での2日間にわたる館長による空手指導は、4、5歳児クラス(約45名)には主に空手の基本動作を、1年生6歳児クラス(約20名)では、基本に加えて呼吸法とナイファンチンの型を、スタッフ・教師たちには基本、呼吸法、そしてサンチンの型が指導された。


 指導の中で繰り返し強調されたのは、スポーツ空手は、勝ち、負けの判定の世界であり、力や対立を教え込む在り方であるが、武術としての宇城空手は、自分を護り、家族を護り、大切な人を護る、それには相手に入るという調和の技とそれを可能にする心のあり方が重要であるという、スポーツと武術宇城空手の根本的な違いについてであった。


 さらには、

「今の教育は、頭・知識による言葉の指導が中心となっており、それが知らずしらずに子どもに対立を教え込む結果となってしまっている。力ではなく相手と仲良くしたり、相手と調和することで、子どもの自然の力がのびのびと引き出せる。そのためには子どもには理屈で教えるあり方ではなく、潜在能力を引き出す指導、つまり身体で学ばせる『身体先にありき』を徹底することが大事であり、その先に、人間が生まれ持っている『気』という世界がある」

という、まさに人間育成の根幹となる宇城空手の実践理念が伝えられた。


 子どもたちは、どのクラスの子も初めて会う宇城館長に対し、溢れんばかりのエネルギーとやる気を見せてくれた。基本の突きの稽古をやらせると、はちきれんばかりの声を出して一生懸命取り組む姿勢には、まだ始めたばかりで形はできていなくても、これがきちんと型にはまっていけば、彼らのエネルギーがさらに倍増していくであろうことが容易に想像できた。


 館長が上手な子を一人ひとり前に出し、皆の前で見本としてやらせると、とても嬉しそうに誇らしげにやっている姿が印象的だった。子どもたちは選ばれて前に出た子をうらやましがることもなく、素直に拍手を送っている。その姿に、すれていない子どものまっすぐさを感じた。


 子どもの集中力は15分が限度ということで、15分くらいで休憩を入れながらの指導となった。

休み時間も、子どもたちは自然に館長のまわりに集まってきて、館長の身体をさわったり話しかけたりしていた。現地のスタッフたちも素直で明るく楽しげに取り組んでいて、その様子は、まるで子供クラスがそのまま青年クラスになったようで、ほほえましかった。


 このスタッフたちが子どもたちと共に宇城空手を身体を通して学ぶことで、自らの眠っていた能力に気づき、子どものじゃまをしない、子どもをそのまま育てていけるスタッフとして成長していけることは、本人にとっても子どもたちにとっても本当に素晴らしいことだと思った。

宇城館長は、現段階で最高学年である小学校1年生が、今後ますます上達していけば、子どもは自然と年上の子たちを真似ていき、上達が加速すると言われたが、まさにその通りになるだろうと思えた。


 カンボジアのまっすぐな子どもたちのエネルギーは、館長が繰り返し強調された「〜〜をしましょう、〜〜が大事ですよ」と言葉で指導するのではなく、土にまかれた植物のタネが勝手に自然にすくすくと育っていくように、すでに持っている子どもの可能性をそのまま伸ばしていく、本来の教育をしていくことの大切さを教えてくれるものであった。そうした子どもたちを、まずはぶれない正しい型にはめて本来の自然体をつくり、その中で自主性や自己判断を養い、社会において活躍していく人材をつくっていく。2日間という短い時間であったが、塾長が展開した指導は、まさに教育がどうあるべきかの根幹の指導であった。


 今後は年一回の館長による指導に加え、師範、指導員による定期的な稽古がCLAで行なわれることとなり、地球益を目指すリーダー養成に向けて、関わる人たちのさらなる進歩、成長が期待される。これからの展開を楽しみにしていきたい。

 以下に、2日間にわたる館長の指導の様子を写真で紹介する。



「突き」の稽古をする3、4歳児
「突き」の稽古をする3、4歳児

当初は子どもの指導は4、5歳、小1のみの予定だったが、1日目のお兄さん、お姉さんたちの様子を窓から見ていた3歳児たちが「自分たちもやりたい!」と先生にお願いし、2日目は3歳児も含めた合同稽古となった。
当初は子どもの指導は4、5歳、小1のみの予定だったが、1日目のお兄さん、お姉さんたちの様子を窓から見ていた3歳児たちが「自分たちもやりたい!」と先生にお願いし、2日目は3歳児も含めた合同稽古となった。

基本稽古をする小学校1年生たち
基本稽古をする小学校1年生たち

ナイファンチンの型を稽古する小学校1年生たち
ナイファンチンの型を稽古する小学校1年生たち

スタッフ、保育士への指導
スタッフ、保育士への指導

3、4、5歳児と
3、4、5歳児と

小学校1年生と
小学校1年生と

保育士、スタッフと
保育士、スタッフと


【動画】3〜5歳児 稽古風景




【動画】小学校1年生 稽古風景



腕受けの指導を受ける子ども
腕受けの指導を受ける子ども

休み時間、館長に群がる子どもたち
休み時間、館長に群がる子どもたち


初日の夜は、CIESF理事長で(株)フォーバル株式会社代表取締役会長の大久保会長をはじめ、元在カンボジア特命全権大使で現在CIESFカンボジアオフィス代表の篠原氏、CIESF日本事務局事務局長、CLA土居清美校長らが宇城塾長を迎え会食した。
初日の夜は、CIESF理事長で(株)フォーバル株式会社代表取締役会長の大久保会長をはじめ、元在カンボジア特命全権大使で現在CIESFカンボジアオフィス代表の篠原氏、CIESF日本事務局事務局長、CLA土居清美校長らが宇城塾長を迎え会食した。

カンボジア王宮「即位殿」
カンボジア王宮「即位殿」


 
参加した先生方の感想文

■ 管理部 T.S (日本)

宇城先生から直々に教えて頂けたことは、奇跡でとても有難い事であると感じました。

宇城先生が最初に書かれた「礼に始まって、礼に終わる」と言う事が本当に大切な事で、自分は、普段から適当な礼(挨拶)をしていたことがわかり、恥ずかしく思いました。

それは、いくら力ずくで無理やりやろうとしても、良い結果にはならず逆に呼吸と姿勢を整

え、無駄な力を入れないほうが、より凄い力を発揮できる事を様々な角度から、わかりやすくそして、丁寧に教えて頂けたことでより理解する事ができました。

それは空手だけでなく、人と人との心の垣根を作らないという事にまでつながっていると 教えて頂き、年齢を重ねる事で得た事も沢山ありますが大切な事を忘れてしまっていると 思いました。

とかく人間は、基本的な事を軽視しがちで、より複雑な技術や方法を知っている事が凄い、偉いと勘違いしていると改めて痛感しました。

どんな事でも、とにかく基本が一番大事で、一つ一つに意味があり、些細な事でも大切にして反復練習を繰り返す事で理解も深まり、更なる発見にも繋がると実感しました。

今回教えて頂きました基本中の基本を繰り返し、繰り返し租借していきたいと思います。

そして、最後に教えて頂いた子供の肩に手を置く事で相手の気持ち和やかが和やかになるという事を日々実践してみたいと思います。

宇城先生、本当に本当にありがとうございました。

食事中、お話の中で様々なところに出向き多忙極まりないと伺いました。

どうか体調を崩されませぬよう、くれぐれもご自愛くださいませ。

また、CLAでお会いできます事をこころより楽しみにしております。



■ 管理部 R (カンボジア)

ご多忙の中、お時間を割いてくださりCLAにお越しいただき誠にありがとうございました。

空手初心者の私は、慣れるまではちょっと大変でしたが、楽しかったです。体を強くする事が大事です。

空手についてのイメージは、力を入れないと駄目だと思い込んでいました。やはり、宇城先生の指導の下で空手に挑戦してみたら、空手は体の力ではなく、心の力、感謝、お礼といった事が本当に大事だなと実感しました。感謝やお礼の気持ちだけでこんなに力が入るのが不思議です。宇城先生の空手は魔法みたいなものです。もっともっと宇城先生の空手を知りたいです。

これからも自分のため、宇城先生に教えて頂いた沢山の基本的な事を始め、園児達と一緒に頑張っていきたいと思います。

また宇城先生がCLAにいらっしゃるのをお楽しみしております。



■ 幼稚部 H.T (日本)

「礼に始まり礼に終わる」昔、柔道をやっていた頃を思い出しました。

日々の生活の中で、バタバタしてしまうこともあるけど、感謝で始まり感謝で終わることを心掛けたいと改めて感じました。

呼吸法を色々教えて頂きましたが、呼吸をするだけで心が落ち着くと実感したので繰り返しおこなっていきたいです。

今回、年長クラスと年中クラスの子ども達のみとのことだったのですが、年少のひまわり組の子ども達が外遊びの際に花壇にのぼり、「やりたい」と真似する姿が見られました。

2日目は、ひまわり組の子ども達も参加させて頂いたのですが、初めてなのに「えいっ」

と声を出しながら取り込んでいる子どもの姿が見られました。

クラスに帰ってからも「空手」という言葉を覚え、「最初は礼」という子どももいました。

(かけっこの時は、最初はきょうつけと練習しているため、そこから出た言葉だと考えられます)

私自身、貴重な経験をさせて頂いたため、日々の生活の中でゆっくりと呼吸をし、落ち着いて生活していきたいです。

先生に教えて頂いた肩を優しくたたいて声をかけたり、みんなで手を繋いで上下にして1つになることを保育の中に取り入れて頂きたいです。

素晴らしい時間をありがとうございました。



■ 幼稚部 K (カンボジア)

二日間、宇城先生がわざわざ日本からいらっしゃって頂き、本当にありがとうございました。

この二日間の午前中は園児たちに空手のことについて教えていただき、園児たちはとても喜んだと私は感じました。短い時間だったけど、園児たちは笑顔で一所懸命空手を学んでいました。各クラスの先生方々も園児たちと一緒に空手を学びました。

午後、先生方々向けの空手の時間でした。空手はとても面白かったです。先生方と一緒に学んで楽しい授業でした。

私も宇城先生の通訳と共に一緒に空手を学ぶこともできました。空手は色んな事ができると初めて分かりました。とても興味があり、もっと空手の事を知りたいです。

精一杯空手を学びたいので、これからも宜しくお願い致します。


■ 幼稚部 K (カンボジア)

今回は二回目の空手でしたが子供達はすごく喜んでいました。前回は年長と年中でしたが今回に年少でも参加する事が出来て、楽しくてもっとやりたい声が多いです。

私は「空手」やったが無いのでとても難しかったです。一つ一つの動き方は難しいですが楽しかったです。そして、先生に教え頂いた事を子供達に教えたいと思います。特に落ち着くために肩を優しく叩いて声をかけたり、心から相手のため仕方も(気持ちをリラックスするも)とても良いと思います。

これからも宜しくお願い致します。是非CLAにまた来て下さい。楽しみ待っています。




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