第10回シアトルセミナーレポート
2019年9月7-8日の週末にかけて宇城塾長による第10回シアトルセミナーが開催された。アメリカはもちろんの事、カナダ、ドイツ、日本から参加者が集い、回数を重ねたベテランから初めての人まで様々な人々が集う場となった。
セミナーの開催場所はこれまでの体育館から道場に。宇城塾長とも親睦の深い五月女先生のお弟子さんがスペースを提供してくれ、セミナーは親しみのある空気感の元、始まった。
2日間のセミナーは「中心を作るのに最適」なパッサイの型をベースに、様々な検証法と呼吸法を交え、いかに力ではないエネルギーを各自が持っているか、そして既存の成長曲線の延長上に未来があるのではなく、不可逆的ステップアップを伴う成長が重要でありその違いをテーマに行われた。









また2日目の午前中は呼吸法を重点的に行なった。一見、非常にシンプルな動きであるが、検証すると各自が出来ていない事が分かる。それに対し、塾長は繰り返し「ガサツにしない。丁寧にゆっくりと」と指導し、「瞬発力はゆっくりとした動きが原点にあって、可能になる」と付け加えた。
また、呼吸法によって調和を生み出すと、スクラムを横から押すなど一つが出来るようになったら、次のステップとしてスクラムを縦方向から押すなど次の条件、そして次の条件と状況の難易度を高くし、その難易度に対してさらにゆっくりと丁寧に行う事の重要性を指導した。









この他、休憩時間も各自が熱心に稽古をする姿を観察しながら指導する他、お昼休みには石割を披露の上、子供達にも挑戦させて「誰にでも出来る事」を示すなど、様々な分野に渡り、塾長の参加者全員に対する細かな気配りと暖かさ、そして早くステップアップして欲しいと言う師の思いが伝わる2日間のセミナーとなった。塾長からは「きちんと教わった事を持ち帰るように」との言葉もあり、参加者一人一人が塾長から「課題」というお土産を受け取る貴重なセミナーとなった。


<第10回シアトルセミナー 感想文>
■ L.C (シアトル) セミナー会場提供者
先生に来ていただいて、道場の雰囲気が変わりました。私の道場にいろいろな掛軸が飾ってあるのですが、命が吹き込まれたというか、先生が実際にここに来てくださって、その掛軸の意味を体現してくださったことがありがたかったです。言葉の意味が新しく感じます。私自身も変わったように感じるし、道場のなかの空気も変わったように感じます。先生にとても感謝しています。
■ T.M(フィラデルフィア)
稽古では先生に癖を指摘していただいたのですが、ああいうふうに微妙な癖を見抜ける人というのはいません。ありがたいことです。細胞単位で動くということ、細胞がばーと出てくる、今回の稽古ではそれを感じることができました。
昨年は、先生から気の渦のようなものが出てくるのが見えたのですが、今年は、直線に、ハチの巣のようなもの、しぼるとジュースがでるようなものが、向かってくるのを感じました。昨年まではなぜ先生に入れないのかがわからなかったのですが、今年は、このハチの巣があるために、飛び込む前にこっちの重心がずらされている。バランスが崩れていて、入れないし、動けない。だから自在にされてしまうのだ、と、それがよくわかりました。
本当に貴重な体験をさせていただいています。先生のご指導ですごいと思うのは、言葉で絶対に説明されないということです。もちろん、しきれるものではないと思いますが、もし言葉にしてしまうと、それをまたその人が他の人に伝える時に、連想ゲームのように、まったく違うものが伝わっていってしまいます。それはよくないことです。最初は、「難しいことばかりおっしゃって、なぜ言葉できちんと教えてくださらないのか」と思っていたのですが、言葉でこうだとか、ああだとか言っても、わからない。なぜあえてああいうやり方でご指導されるのかがわかりました。そもそも次元が違うので、言葉などで学べません。小学生には小学生のレベルしか情報処理ができないです。
先生に打たれても、守られているから。痛みが違います。今日、稽古していて相手の方とがちんこになったのですが、同じパンチでも先生のは、その時はすごい衝撃ですが、あとに残らないです。でも普通の方のだと、対立しているから、痛くていつまでも痛みが残りました。
本当に楽しかったです。よく先生は「楽しいね」と言われますが、「はい」と言いつつも、「何が楽しいのかな」と思っていたのですが、今回、その「楽しい意味」がわかりました。
■ C.F(カナダ・バンクーバー)
昨年もいいましたが、たくさんの宿題をいただいたし、今、まさに自分が必要なことを教えていただきました。まず今回は姿勢を治されました。それからやるたびに、どんどんよくなって、そのうちに今度は、外面、内面をどのように一致させていくんだろう、と。どう動いたら正しいのかとかの課題にぶつかった時に、先生は、そのためには中心をつくらねばならないと教えてくださいました。その中心を肩のほうへ伝えていく……「ああ、そうなのか」と。それから身体の呼吸をつくる稽古では、ただ外をまわすだけではなくて、中をまわさなくてはならないことを学びました。
今回あらためて気づかされたことは、先生はいつだってどうすべきかを教えてくださっている。しかし、自分の稽古の度合でそれがわかったり、わからなかったりするんだなということです。今でも先生のご指導でわからないことがたくさんありますが、以前よりはちゃんと理解できる自分がいます。それはとても自分の稽古に役立ちます。
先生は私たちのレベルにおりてきてくださって、上達へのプロセスを示してくださっている。すべてがそこへつながっている。昔は、言われたことをやっているだけで、心のなかでは、気をとおされれば、できるけどそうでなければ自分では、こんなことできないよって思っていました。でも先生が見本を示してくださって、それを素直に先生がやられる通りにやったら、できたのです。先生はそうやって目に見えない世界を見せてくださろうとしているのだということが理解できました。だから、素直に「先生のいうとおりにやる」これが大事なんだと。まさにその通りなんだと。そこからどれだけのことが学べるかが大事であると思いました。今年は10月に初めて日本の合宿に参加させていただきますので、とても楽しみしています。
■S.P (シアトル)