第9回シアトルセミナー レポート
2018年9月8ー9日の週末にかけて宇城塾長による第9回シアトルセミナーが開催された。空手や合気道経験者を中心に、多数の初めての参加者を含め、アメリカ、カナダ、ドイツ、そして日本から様々な職業の人々が集まった。
「人間の細胞は一つ一つその機能が異なる、それがまとまる事で人間の身体は出来上がっている。皆さんも一人一人違っていて当たり前。型はそれをまとめてくれる」、「年に1回、あるいは2回しか接する事が出来ない人たちのために、皆が持ち帰って次回まで研究出来るものを提供する」、と言う塾長の言葉と共にセミナーは幕を開けた。
セミナーは2日間、サンチンを中心に行われた。テーマはパラダイムシフト。塾長はスポーツ空手と武術空手の違いを三輪車と二輪車の喩えを使って説明した。すなわち三輪車はどれだけ練習しても次のステップが無いのに対し、自転車は乗り方を身につければ、そこで不可逆なパラダイムシフトが起き、そこから片手運転、両手離しなど自由に展開出来るというもの。型は身につける自転車のようなものであると言う点と共に、スポーツが年齢によってピークがあるのに対し、武術は死ぬまで修行であると言うメッセージも2日間に渡って幾度も強調した。
サンチンの指導を行う塾長
全体でのサンチン
武術の組手を指導する塾長
塾長の指導は型と分解、そして型に至る基本と、この3点を中心に展開。その中でも参加者に大きな印象を残したのが初日に母親と参加した14才の少年だった。4才から空手をやってきていた彼は最初の方こそ、一瞬頭で考えるクセがあったものの、塾長が何度も指導を重ねる中、スクラムを組んだ大人数の大人を触れて動かせるようになりパラダイムシフトが起きた。少年の変化の効果はそれのみに止まらず、他の検証方法でも迷いなく出来るようになり、参加者一同にその「出来る」と言う事実が染み渡った。最初に出来た時の少年の笑みは素直な喜びに満ちたもので、塾長は「この経験が彼の今後の人生を変え、より豊かにする」と述べた。
大人が押してもビクともしない
塾長の指導で、子供が押すと簡単に崩れる
子供に軍配が上がった
子供を使った検証は2日目も行われたが、「出来たから凄いのではない、何故(大人である)自分たちは出来ないのか?そこを己に問わなくてはいけない」との塾長の問いかけは2日間のセミナーを通して何度も参加者に投げかけられた。
宇城塾長のサンチンの指導は型も分解も詳細に渡り、各自が2人で組んだ後もそれぞれのグループをまわりながら、出来るようになるまで細かく指導した。正しい呼吸が流れる動作は一点の場所。それぞれが塾長に指導される中、己のクセに気付き、型が出来るようになった人たちは一様に子供達と変わらない素直な笑顔を浮かべていた。塾長の言う、「宇城空手は人を幸せにする空手である」、と言うメッセージが浸透する瞬間でもあった。塾長は皆が一人稽古出来るように型の正しさとその検証方法の重要性を説きつつ、これがまだほんの入口であり、まだまだ参加者の人たちが想像出来ないような深さが控えている事も気の検証を通して伝えられた。
塾長が正しいサンチンを指導すると相手が崩れる
各組を指導する塾長
相手に入る
相手が入り込めない
2日間を通じて参加者は型の重要性と、「出来る師の姿を写す」、と言う姿勢について様々なアングルから学ぶ機会を得る事が出来た。また2日目の休憩時間にはシアトル支部上級生の塾長による審査も行われ、参加者は通常のセミナーとは異なる空気に触れる事も出来た。
審査後、塾長より昇級を受けるシアトル支部生
指導とは言葉ではなく実践、生き様を見せる事であると言う宇城塾長の姿勢が一人一人の参加者に伝わり、次回のセミナーに向けて希望が大きくなるセミナーとなった。