時代背景に見る人間の生きざまと言葉の重み ―「負けは死を意味する」―

 先日あるフィギュアスケートのオリンピックメダリストが、試合に負けた際の感想として「負けは死も同然」といったコメントをして話題になりましたが、「負けは死を意味する」という言葉は、本来は生死をかけた実践が要求された時代に生み出された言葉です。


 身近なところでは幕末や江戸時代の頃がまさにそのような状況でした。当時の侍は刀を身につけていました。それ故すべてが真剣勝負であり、侍たちにとっては一度刀を抜けばどちらかが傷つき、明確な「負け」は当然「死」を意味するものでした。


 フィギュアの世界における「負け」は、せいぜい転んで尻もちをつく程度であり、江戸時代の「負け」の意味するところの時代背景にある重みとは全く異なります。


 真剣勝負での「負け」は「死」を意味するからこそ、当時の侍は勝たなければならなかった。しかしその「勝つ」は、自分を守るための、生き残るための「勝つ」であり、スポーツにおける順位や点数の「勝ち、負け」とは次元が違います。


 武術の負けは死を意味し、決して許されないからこそ、負けない完璧な「守り」が必要でした。それには「勝ち負け」という相対世界を超越した絶対世界の次元が必要でした。そうした世界から生み出されたのが集大成としての武術の型や術技であり、現在に継承されています。


 そうした真剣の世界から見た時に、今回のメダリストという位置からの「負けは死も同然」といった言葉は、スポーツとしての発想であり、知名度・肩書きに引きずられている今の時代のあり方を見る思いです。

 それは今の国会や、大臣の資質にも見ることができます。まさに人間の軽さであり、人間力の劣化です。


 本来の真剣勝負とは、人との闘いではなく、自らとの闘いであるべきです。ましてや国のリーダーともなれば、国民の幸せのために、また未来に続く次世代の子供たちのために、自らを律し、命をかけ、模範を示す気概や覚悟をもって事を成す、ということにあると言えます。

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